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この章では、税理士法の特定の規定に違反した税理士又は税理士法人及び税理士業務を行った者について刑罰又は行政罰を科す旨の規定されている。

罰 則 第58条-65条

適用条項 罰 則 違反条項 違反区分 対象者
法58条 3年以下の懲役又は
200万円以下の罰金
法36条
違 反
脱税相談等の禁止規定に違反したとき 税理士、税理士法人
通知弁護士
臨時作成者
法59条 2年以下の懲役又は
100万円以下の罰金
法25条①ー
違 反
税理士になる資格につき虚偽の申請をし、その申請に基づき当該登録を受けた者であることが判明したとき 無資格者
法37条の2
違 反
非税理士に対する名義貸しの禁止規定に違反したとき 税理士、税理士法人
通知弁護士
法38条
違 反
秘密を守る義務規定に違反したとき 税理士
通知弁護士
臨時作成者
法54条
違 反
税理士又は税理士法人の
使用人
法52条
違 反
税理士業務の制限規定に違反したとき 無資格者
法60条 1年以下の懲役又は
100万円以下の罰金
法42条
違 反
業務の制限規定に違反したとき 税理士
法43条
違 反
業務の停止規定に違反したとき 税理士
通知弁護士
法45条
法46条
違 反
税理士業務の停止の処分を受けた場合において、その処分に違反したとき 税理士、税理士法人
通知弁護士
法61条 100万円以下の罰金 法53条
違 反
名称の使用制限規定に違反したとき 税理士でない者
税理士法人でない者
税理士会又は
日税連でない団体
法62条 30万円以下の罰金 法49条の19①
法55条①
違 反
監督上の措置規定に違反したとき 税理士会
日税連
税理士、税理士法人
通知弁護士
法64条 100万円以下の過料 法48条の19の2⑥
違反他
虚偽報告他 税理士法人
税理士会・日税連
法65条 30万円以下の過料 組合等登記令
違反他
登記を怠ったとき他 税理士法人の社員・清算人
税理士会・日税連役員

第58条(罰則)

第36条(第48条の16又は第50条第2項において準用する場合を含む。)の規定に違反した者は、3年以下の懲役又は200万円以下の罰金に処する。

脱税相談等禁止違反

法36条は、「税理士は、不正に国税若しくは地方税の賦課若しくは徴収を免れ、又は不正に国税若しくは地方税の還付を受けることにつき、指示をし、相談に応じ、その他これらに類似する行為をしてはならない」と規定しており、これに違反した者に対しては、3年以下の懲役又は200万円以下の罰金に処せられる。
平成13年の改正で、罰金額の上限が100万円から200万円に引き上げられたが、それ以前から、税理士の使命に照らして、この脱税相談等の禁止を犯した者への罰則が、税理士法上の最も重い罰則とされている。
なお、本条は、税理士法人、国税局長から臨時に税務書類の作成等を行うことの許可を受けた者(法50①)にも準用されることから、これらの者に対しても、この刑事罰は適用される。
また、所属弁護士会を経て、国税局長に通知することにより、その国税局の管轄内において、随時、税理士業務を行うことのできる弁護士又は弁護士法人(以下「通知弁護士等」、法51①、③)も、法36条(法48条の16で準用する場合を含む)の規定の適用については、税理士又は税理士法人とみなされ(法51②、④)、それに違反した場合、同様にこの刑事罰が適用されることとなる。

第59条(罰則)

次の各号のいずれかに該当する者は、2年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処する。
一 税理士となる資格を有しない者で、日本税理士会連合会に対し、その資格につき虚偽の申請をして税理士名簿に登録させたもの 二 第37条の2(第48条の16において準用する場合を含む。)の規定に違反した者 三 第38条(第50条第2項において準用する場合を含む。)又は第54条の規定に違反した者 四 第52条の規定に違反した者 2 前項第3号の罪は、告訴がなければ公訴を提起することができない。

虚偽登録

税理士となるには、税理士としての資格を有する者が、日本税理士会連合会に登録申請書を提出し、税理士名簿に登録を受けなければならない(法18、21①)のであるが、税理士となる資格を有しない者で、日本税理士会連合会に対し、その資格について虚偽の申請をして税理士名簿に登録させた者は、2年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処せられる。この罰則は、公認会計士法、弁理士法等他の士業法では既に設けられており、税理士法においても平成13年の改正で設けられたものである。
なお、虚偽申請により登録を受けた者であることが判明した場合には、当然、その登録は取り消され(法25①)、欠格条項(法4十一)に該当することとなる。

非税理士に対する名義貸し禁止違反

平成26年の改正により新設された法37条の2は「税理士は、第52条又は第53条第1項から第3項までの規定に違反する者に自己の名義を利用させてはならない」と規定している。
非税理士に対する名義貸しを放置すると、法52条(税理士業務の制限)の規定を有名無実化し、国民納税者に不測の損害を被らせるおそれがあることから、特にこれを明文化して禁止している。
無資格者への名義貸しは、資格のない者が税理士行為を行うという犯罪行為に加担する行為であるから、この規定に違反した税理士又は税理士法人(通知弁護士等を含む)は、2年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処せられる。
平成26年の改正で、報酬のある公職に就いた場合の税理士業務の停止規定が緩和されたことを契機として、それまでは信用失墜行為の一類型として法37条により処理されていた名義貸しの行為のうち、非税理士に対する名義貸しについては、独立した禁止規定として税理士法上に明文化され、併せて、罰則規定も独立した項目として規定された。

守秘義務違反

法38条は、「税理士は、正当な理由がなくて、税理士業務に関して知り得た秘密を他に洩らし、又は窃用してはならない。税理士でなくなった後においても、また同様とする」と規定するとともに、法54条で「税理士又は税理士法人の使用人その他の従業者は、正当な理由がなくて、税理士業務に関して知り得た秘密を他に漏らし、又は盗用してはならない。税理士又は税理士法人の使用人その他の従業者でなくなった後においても、また同様とする」と規定し、税理士又は税理士法人(通知弁護士等を含む)の使用人等に守秘義務を課している。
これらの規定に違反した者は、2年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処せられるが、告訴がなければ公訴を提起することができないこととされている。また、法38条の規定は、国税局長から臨時に税務書類の作成等を行うことの許可を受けた者(法50①)に準用されており、この者に対しても、この刑事罰が適用される。
平成13年の改正で、罰金額の上限が20万円から100万円に引き上げられた。

税理士業務の制限違反

法52条は、「税理士又は税理士法人でない者は、この法律に別段の定めがある場合を除くほか、税理士業務を行つてはならない」と規定している。これは、税理士業務が税理士の独占業務であることを明らかにし、にせ税理士行為を禁止するものである。
この規定に違反した者(通知弁護士等を含む)は、2年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処せられる。
平成13年の改正で、罰金額の上限が30万円から100万円に引き上げられた。

第60条(罰則)

次の各号のいずれかに該当する者は、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処する。
一 第42条の規定に違反した者
二 第43条の規定に違反した者 三 第45条若しくは第46条又は第48条の20第1項の規定による税理士業務の停止の処分を受けた場合において、その処分に違反して税理士業務を行つた者

業務制限違反、業務停止違反、業務停止処分違反

税理士法は、税理士に対して、次のとおり一定の場合に税理士業務を行うことを制限しているが、この制限に違反した者は、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処せられる。
平成13年の改正で、①罰金額の上限が20万円から100万円に引き上げられるとともに、②税理士法人制度の創設に伴い税理士法人の違反行為等についての処分が規定され、この処分に違反した場合が追加された。 (1)業務制限違反
法42条の規定(国税又は地方税に関する行政事務に従事していた国又は地方公共団体の公務員で税理士となつたものは、離職後1年間はその離職前1年内に占めていた職の所掌に属すべき事件について税理士業務を行ってはならない。但し、国税庁長官の承認を受けた者については、この限りではない。)に違反した者

(2)業務停止違反
法43条の規定(税理士は、懲戒処分により、弁護士、外国法事務弁護士、公認会計士、弁理士、司法書士、行政書士若しくは社会保険労務士の業務を停止された場合又は不動産鑑定士の鑑定評価等業務を行うことを禁止された場合においては、その処分を受けている間、税理士業務を行ってはならない。税理士が報酬のある公職に就き、その職にある間においても、また同様とする。)に違反した者

(3)業務停止処分違反
法45条(脱税相談等をした場合の懲戒)若しくは46条(一般の懲戒)又は48条の20第1項(違反行為等についての処分)の規定による税理士業務の停止処分を受けた場合において、その処分に違反して税理士業務を行った者(通知弁護士等を含む)

第61条(罰則)

次の各号のいずれかに該当する者は、100万円以下の罰金に処する。
一 第53条第1項の規定に違反した者
二 第53条第2項の規定に違反した者
三 第53条第3項の規定に違反した者

名称の使用制限違反

法53条1項において「税理士でない者は、税理士若しくは税理士事務所又はこれらに類似する名称を用いてはならない」と規定するとともに、同条2項において「税理士法人でない者は、税理士法人又はこれに類似する名称を用いてはならない」とし、さらに同条3項において「税理士会及び日本税理士会連合会でない団体は、税理士会若しくは日本税理士会連合会又はこれらに類似する名称を用いてはならない」と規定し、税理士、税理士事務所、税理士法人、税理士会又は日本税理士会連合会の名称の使用を制限している。
これらの規定に違反した者は、100万円以下の罰金に処せられる。
平成13年の改正で、①罰金額の上限が20万円から100万円に引き上げられるとともに、②税理士法人制度の創設に伴い税理士法人の名称の使用についても制限された(法53条②)ことから、税理士法人の名称の使用制限違反が追加された。

第62条(罰則)

次の各号のいずれかに該当する者は、30万円以下の罰金に処する。
一 第48条の19の2第6項(第49条の12第3項において準用する場合を含む。)において準用する会社法第955条第1項の規定に違反して、同項に規定する調査記録簿等に同項に規定する電子公告調査に関し法務省令で定めるものを記載せず、若しくは記録せず、若しくは虚偽の記載若しくは記録をし、又は当該調査記録簿等を保存しなかつた者
二 第49条の19第1項又は第55条第1項の規定による報告、質問又は検査について、報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、質問に答弁せず、若しくは虚偽の答弁をし、又は検査を拒み、妨げ、若しくは忌避した者

監督を受けることに関する罰則

電子公告制度の導入のための商法等の一部を改正する法律(平成16年法律第87号)により、電子公告制度が導入されたことに伴い、税理士会が合併する場合についても電子公告に関する旧商法の規定が適用され、旧商法に準じて電子公告の調査機関に対する罰則が設けられた。その後、会社法が制定され、旧商法の規定が会社法に規定された。この結果、法48条の19の2第6項(法49条の12第3項において準用する場合を含む。)において準用する会社法955条1項の規定に違反して、同項に規定する調査記録簿等に同項に規定する電子公告調査に関し法務省令で定めるものを記載せず、若しくは記録せず、若しくは虚偽の記載若しくは記録をし、又は当該調査記録簿等を保存しなかった者は、30万円以下の罰金に処せられる。
また、法49条の19第1項は、「財務大臣は、税理士会又は日本税理士会連合会の適正な運営を確保するため必要があるときは、これらの団体から報告を徴し、その行う業務について勧告し、又は当該職員をしてこれらの団体の業務の状況若しくは帳簿書類その他の物件を検査させることができる」とし、また、法55条1項は、「国税庁長官は、税理士業務の適正な運営を確保するため必要があるときは、税理士又は税理士法人から報告を徴し、又は当該職員をして税理士又は税理士法人に質問し、若しくはその業務に関する帳簿書類を検査させることができる」とそれぞれ規定している。
これらの規定による報告、質問又は検査について、報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、質問に答弁せず、若しくは虚偽の答弁をし、又は検査を拒み、妨げ、若しくは忌避した者(通知弁護士等を含む)は、30万円以下の罰金に処せられる。
平成13年の改正で、罰金額の上限が5万円から30万円に引き上げられた。

第63条(罰則)

法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、第58条、第59条第1項第2号(第48条の16において準用する第37条の2に係る部分に限る。)若しくは第4号、第60条第3号(第48条の20第1項に係る部分に限る。)、第61条又は前条の違反行為をしたときは、その行為者を罰するほか、その法人又は人に対し、各本条の罰金刑を科する。

両罰規定

法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、法58条、法59条1項2号(法48条の16において準用する法37条の2に係る部分に限る。)若しくは4号、法60条3号(法48条の20第1項に係る部分に限る。)、法61条又は法62条の違反行為をしたときは、その行為者を罰するほか、その法人又は人に対し、各本条の罰金刑が科せられる。
これは、いわゆる両罰規定といわれるもので、事業主である法人又は個人の業務に関し、その法人の代表者又は法人若しくは個人の代理人、使用人その他の従業者が、法58条(脱税相談等の禁止違反)、法59条1項2号(法48条の16において準用する法37条の2に係る部分に限る。)若しくは同項第4号(税理士業務の制限違反・にせ税理士行為)、法60条3号(税理士法人に対する業務停止処分違反)、法61条(税理士、税理士事務所、税理士法人、税理士会又は日本税理士会連合会の名称使用制限違反)又は法62条(監督を受けることに関する罰則)に該当する行為をした場合に、その行為者を罰するほか、事業主である法人又は個人に対してもそれぞれに規定する罰金刑を科するものである。
平成13年の改正では、法58条(脱税相談等の禁止違反)、法60条3号(税理士法人に対する業務停止処分違反)、法61条1号及び2号(税理士、税理士事務所又は税理士法人の名称使用制限違反)に該当する行為が追加されたほか、旧法64条に規定されていた「ただし、法人又は人の代理人、使用人その他の従業者の当該違反行為を防止するため当該業務に関し相当の注意及び監督が尽くされたことの証明があつたときは、その法人又は人については、この限りでない」という免責規定が削除された。この削除については、規定がなくても当然に免責されるという解釈が現在確立していることによる。
また、平成26年の改正では、法59条1項2号(非税理士に対する名義貸し禁止違反)に該当する行為が追加された。

第64条(罰則)

次の各号のいずれかに該当する者は、100万円以下の過料に処する。
一 第48条の19の2第6項(第49条の12第3項において準用する場合を含む。次号において同じ。)において準用する会社法第946条第3項の規定に違反して、報告をせず、又は虚偽の報告をした者
二 正当な理由がないのに、第48条の19の2第6項において準用する会社法第951条第2項各号又は第955条第2項各号に掲げる請求を拒んだ者

第65条(罰則)

次の各号のいずれかに該当する場合には、税理士法人の社員若しくは清算人又は税理士会若しくは日本税理士会連合会の役員は、30万円以下の過料に処する。
一 この法律に基づく政令の規定に違反して登記をすることを怠つたとき。
二 第48条の19の2第2項又は第5項の規定に違反して合併をしたとき。
三 第48条の19の2第6項(第49条の12第3項において準用する場合を含む。)において準用する会社法第941条の規定に違反して同条の調査を求めなかつたとき。
四 定款又は第48条の21第1項において準用する会社法第615条第1項の会計帳簿若しくは第48条の21第1項において準用する同法第617条第1項若しくは第2項の貸借対照表に記載し、若しくは記録すべき事項を記載せず、若しくは記録せず、又は虚偽の記載若しくは記録をしたとき。
五 第48条の21第2項において準用する会社法第656条第1項の規定に違反して破産手続開始の申立てを怠つたとき。
六 第48条の21第2項において準用する会社法第664条の規定に違反して財産を分配したとき。
七 第48条の21第2項において準用する会社法第670条第2項又は第5項の規定に違反して財産を処分したとき。

社員等の登記義務違反等に対する過料

税理士法人、税理士会及び日本税理士会連合会に対して、登記義務を課すほか、会社法等の規定を準用しているが、これらの規定に違反等があった場合には、以下の過料に処せられる。これは、税理士法人制度が創設されたことや他の士業法等とのバランスなどを踏まえ、平成13年の改正で新設されたもので、これらの過料は、弁護士法、公認会計士法及び弁理士法においても設けられている。
具体的には、次に該当する場合である。
(1) 次のいずれかに該当する者は100万円以下の過料に処せられる。
① 法48条の19の2第6項(法49条の12第3項において準用する場合を含む。②において同じ。)において準用する会社法946条3項の規定に違反して、電子公告調査機関が法務大臣に対して、報告をせず、又は虚偽の報告をした者
② 正当な理由がないのに、法48条の19の2第6項において準用する会社法951条2項各号又は955条2項各号に掲げる電子公告調査委託者等の請求を拒んだ者
(2) 次のいずれかに該当する場合には、税理士法人の社員若しくは清算人又は税理士会若しくは日本税理士会連合会の役員は、30万円以下の過料に処せられる。
① この法律に基づく政令の規定に違反して組合等登記令による登記をすることを怠ったとき。
② 法48条の19の2第2項又は5項の規定に違反して合併をしたとき。
③ 法48条の19の2第6項(法49条の12第3項において準用する場合を含む。)において準用する会社法941条の規定に違反して税理士法人又は税理士会が、電子公告調査機関に対して、同条の調査を求めなかったとき。
④ 定款又は法48条の21第1項において準用する会社法615条1項の会計帳簿若しくは法48条の21第1項において準用する会社法617条1項若しくは2項の貸借対照表に記載し、若しくは記録すべき事項を記載せず、若しくは記録せず、又は虚偽の記載を若しくは記録をしたとき。
⑤ 法48条の21第2項において準用する会社法656条1項の規定に違反して破産手続開始の申立てを怠ったとき。
⑥ 法48条の21第2項において準用する会社法664条の規定に違反して財産を分配したとき。
⑦ 法48条の21第2項において準用する会社法670条2項又は5項の規定に違反して財産を処分したとき。