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第49条の2税理士会の会則

税理士は、税理士会を設立しようとするときは、会則を定め、その会則について財務大臣の認可を受けなければならない。
2 税理士会の会則には、次の事項を記載しなければならない。 一 名称及び事務所の所在地
二 入会及び退会に関する規定
三 役員に関する規定
四 会議に関する規定
五 税理士の品位保持に関する規定
六 会員の研修に関する規定
七 会員の業務に関する紛議の調停に関する規定
八 税理士業務に係る使用人その他の従業者に対する監督に関する規定
九 委嘱者の経済的理由により無償又は著しく低い報酬で行う税理士業務に関する規定
十 租税に関する教育その他知識の普及及び啓発のための活動に関する規定
十一 会費に関する規定
十二 庶務及び会計に関する規定
3 税理士会の会則の変更(政令で定める重要な事項に係るものに限る。)は、財務大臣の認可を受けなければ、その効力を生じない。

税理士会を設立しようとするときは、その設立しようとする区域内に事務所を有する税理士(設立しようとする税理士会の会員となるべき税理士である。)5人以上が設立委員となり、会則の原案を作成し、これを設立総会に付議して、会則案について議決した上で、税理士会の設立認可申請書を、国税庁長官を経由して財務大臣に提出しなければならない(令7①)。税理士会の設立はそれ自体重要な意義があるものであり、また、税理士会の運営のいかんは税理士及び税務行政に重大な影響を与えるものであるので、税理士会の会則の認可は財務大臣がこれを行うこととしている。

絶対的記載事項

税理士法は会則の絶対的記載事項として次の12項目を定めており、これらについては少なくとも会則の中に記載しなければならない。
①名称及び事務所の所在地
名称及び事務所の所在地は、自然人の氏名と住所と同じようなもので、法人にとって欠くべからざるものである。なお、主たる事務所のほか、従たる事務所を設けるときは、その従たる事務所の所在地も記載しなければならない。
②入会及び退会に関する規定
入会に関する規定は、昭和55年の改正によって、税理士は日本税理士会連合会に備える税理士名簿に登録を受けた時に当然税理士会の会員になるという、いわゆる登録即入会制に改められたから、税理士会間における会員の異動に関する事項を中心に定められることになる。また、退会に関する規定は、税理士業務の廃止、税理士会間における会員の異動等の場合の手続等について定めることになる。なお、平成13年の改正において創設が認められた税理士法人についても税理士会の会員となるのであるから、同様に定められることになる。
③役員に関する規定
役員に関する規定については、法定されている会長、副会長のほか、理事等の役員の種類とその数、選任の方法、任期等について定めることになる。なお、税理士会が適当な名称を付した職を置く場合に、それが役員でない限り会則で定める必要はない。
④会議に関する規定
会議に関する規定については、会議の種類(総会、理事会など)、その構成要員、議決方法、会議への付議事項等について規定することになる。税理士会は税理士の自治的団体であるから、会の重要事項はすべて会議に付して決定されることが望ましく、税理士法は、少なくとも、会則の変更、予算及び決算については総会の決議を経なければならないこととしている(法49条の8③)。
⑤税理士の品位保持に関する規定
税理士の品位保持に関する規定については、税理士の使命、職責に照らして、税理士会が自主的に会員の品位の保持、資質の向上に努めなければならないことは当然であって、そのための方策として、綱紀規律、懲戒等について定めることになる。
⑥会員の研修に関する規定
税理士が資質のより一層の向上に努めるのは当然のこととして、平成13年の改正において、税理士が所属税理士会及び日本税理士会連合会の実施する研修を受講し、資質向上を図る努力義務が規定された(法39条の2)ことに伴い、税理士会は、会則において会員の研修に関する規定を定めることとされた。
⑦会員の業務に関する紛議の調停に関する規定
会員である税理士及び税理士法人と顧客である納税者、あるいは会員相互の間等での税理士業務に関連する紛議については、税務の専門家であり、かつ、中立的立場にある者が第一次的な調停に当たることが早期の解決に資することも多いと考えられるとの理由から、平成13年の改正において、紛議の調停制度が創設された(法49条の10)ことに伴い、具体的な手続は、各税理士会の会則により定めることとされたものである。
⑧税理士業務に係る使用人その他の従業者に対する監督に関する規定
税理士業務に係る使用人その他の従業者に対する監督に関する規定(法41条の2)については、使用者がその使用人等を監督すべき立場にあることは当然のことであり、昭和55年の改正の際に加えられたものである。
⑨委嘱者の経済的理由により無償又は著しく低い報酬で行う税理士業務に関する規定
委嘱者の経済的理由により無償又は著しく低い報酬で行う税理士業務に関する規定については、税理士業務は、たとえ無償であっても税理士でない者はこれを行うことができないものであるから、従来から通常の税理士報酬を支払う資力に乏しい者に対しては、税理士会の会員によって無償又は著しく低い報酬による税理士業務が行われてきたところであるが、昭和55年の改正においては、これが会則で定めるべき事項として明定されることとなり、その具体的内容については、日本税理士会連合会及び各税理士会の会則で定めることとされている。

【国会議事録(抄)】昭和55年4月1日 参議院大蔵委員会
渡辺武委員(共産党)
前の、前のって現行法ですよ、現行法では地方の審査を経てから、そして処分が決定して、その上で初めて効力が発生する。それが今度の法律でそういうふうに違ったもの、厳しいものに改まってきているんだから、だから、あなたの答弁は説明にならぬのです。しかし、もう時間の関係もあるから次に移ります。
次は、小規模零細事業者に対する援助義務の問題ですが、改正案の49条の2第2項の8号に「委嘱者の経済的理由により無償又は著しく低い報酬で行う税理士業務に関する規定」これがあります。これが税理士会の会則の絶対的記載事項として法定されることになっているわけですが、そしてまた、49条の13の第1項の6号では、その「実施の基準に関する規定」、これを日税連会則の絶対的記載事項としております。
聞きたいんですけれども、これは現在税理士会が行っている小規模零細事業者に対する無料相談とか、あるいはまた、帳簿の記帳指導だとか、こういうような仕事をやるということを会則の中で必ず書けということになりますか。イエスかノーかで答えてください。

福田幸弘政府委員(大蔵大臣官房審議官)
そういうことになります。

渡辺武委員(共産党)
いままでは税理士会が自主的にこういうことをやっておった。それが今度はいわば書き込まれるわけですから、絶対的記載事項として、義務となってくるわけですね。もっと明確に言いますと、もし税理士さんが従わなかった場合、これは会則違反とか税理士法違反ということで、何らかの処分の対象にすることができるようになると思いますけれども、その点どうですか。

福田幸弘政府委員(大蔵大臣官房審議官)
これは、やはり零細企業に対する援助というものを公共的性格のものとして規定されたということでございます。やはり協力する方、協力されない方があるのじゃ困るわけで、会則で御協力をはっきりさせたということであります。直ちに処分ということではございませんで、これはやはり自主的に、その辺はみんな協力する体制になっていくというふうに考えるのが筋であろうと思います。

渡辺武委員(共産党)
だから、そこのところが私は非常にやっぱり問題だと思いますよ。いままでは自主的にやればよかったのです。ところが今度は、会則の絶対条項として書き込まれている、違反すれば懲罰の対象になる、大変な変化です。なぜこんなことをやったのか。零細企業者の記帳の義務というとおかしいけれども、記帳ですね、これはいまあなた方青色申告会をつくったりなんかして一生懸命でやらそうとしている。これは一般消費税導入の布石ですよ。記帳してもらわなきゃ困る。終戦直後のあの取引高税、あのときは記帳してないから大変な苦労をあなた方はしたんです。大問題が起こった。今度一般消費税を制定する上において、どうしても小規模零細事業者にも記帳さして、そうして取引の一切についてわかるようにしておかなきゃならぬ。それを税理士さんを使って無理やりやっていこう、このためにこういう厳しい規定が出てきているというふうに思いますけれども、その点どうですか。

福田幸弘政府委員(大蔵大臣官房審議官)
全く違いまして、零細な方に安い報酬で援助するという援助のための規定でございます。したがって、自分の仕事だけやって、こういう仕事に協力しないというのじゃ困るので、やはり会則としてこういうことにみんな協力しようということであります。罰則が直ちに動くというよりも、そういう趣旨でみんなが零細な方の援助を、特に申告期あたりにやろうということで、一般消費税については私は念頭に全くございませんので、御質問がどうも理解できません。

⑩租税に関する教育その他知識の普及及び啓発のための活動に関する規定
日本税理士会連合会は、「国民が租税の役割や申告納税制度の意義、納税者の権利・義務を正しく理解することは、納税に対する納得感の醸成と民主国家の維持、発展にとって重要であり、税理士・税理士会は、納税者又は国民への社会貢献事業の一環として、租税教育を通じて申告納税制度の維持発展に寄与している。さらに、税務調査手続が見直され、納税環境の整備が促進されるとともに、税制抜本改革法が成立し、税理士を取り巻く状況が変化していく中で、納税者の利便性の向上を図り、税理士に対する納税者の信頼をより一層高めるとの観点から、税理士が行う租税教育はその重要性が高まっている」(平成24年9月26日常務理事会・理事会決定「税理士法に関する改正要望書」)との認識に立って、「申告納税制度の維持発展を図るために、税理士・税理士会が社会貢献事業の一環として行っている租税教育の取組みがより一層定着・発展するよう、「租税教育」を税理士会の会則の絶対的記載事項とする」(税理士法に関する改正要望書(平成26年度改正要望項目))ことを要望してきた。
この要望に沿って、平成26年の法改正において、税理士会の会則の絶対的記載事項に、租税に関する教育その他知識の普及及び啓発のための活動に関する規定が追加され、これにより、租税教育への取組みについて、税理士が行うことの法的な根拠を得たこととなり、その取組みが一層定着・発展していくことが期待される。

租税教育への取組の推進

租税教育への取組の推進
【平成23年度税制改正大綱】第2章1.納税環境整備
(2)租税教育の充実
国民が租税の役割や申告納税制度の意義、納税者の権利・義務を正しく理解し、社会の構成員として、社会のあり方を主体的に考えることは、納税に対する納得感の醸成と民主国家の維持・発展にとって重要です。
こうした健全な納税者意識を養うことを目的として、国税庁では、次代を担う児童・生徒に対し、租税教育の充実に向けた各種の支援を実施しています。また、税理士・税理士会においても、納税者又は国民への社会貢献事業の一環として、租税教育を通じて申告納税制度の維持発展に寄与するため、小中学校への講師派遣等を積極的に実施しています。
本来、租税教育は、社会全体で取り組むべきものであり、健全な納税者意識のより一層の向上に向け、今後とも官民が協力して租税教育の更なる充実を目指す必要があります。特に、小中学校段階だけでなく、社会人となる手前の高等学校や大学等の段階における租税教育の充実や、租税教育を担う教員等に対する意識啓発について検討し、関係省庁及び民間団体が連携して取り組むこととします。
日本税理士会連合会「租税教育基本指針」(平成23年4月21日制定 平成28年8月25日最終変更)
1 租税教育等基本指針の趣旨
税理士法では、日本税理士会連合会及び税理士会の会則に租税に関する教育その他知識の普及及び啓発のための活動(以下、「租税教育等」という。)に関する規定を記載しなければならないこととしている(第49条の2第2項第10号、第49条の14第1号)。
租税教育等基本指針は、租税教育等の施策の適正な運用に資するために定めるものである。
2 租税教育等の目的
日本国憲法は、第30条で納税の義務を、第84条で租税法律主義を謳っている。我が国は、租税制度の基本を申告納税制度に置いているが、申告納税制度は国民が納税者という立場で自らの計算によって租税債務を確定し、自らの納税によりその債務を履行する制度である。これは租税制度での国民主権を表すといわれ、民主的な手続の側面を持つものであり、この申告納税制度を支えるのが国民の租税についての正しい知識と理解である。
租税教育等の目的は、租税に関する意義、役割、機能、仕組み等の租税制度を知るとともに、申告納税制度の理念や納税者の権利及び義務を理解し、社会の構成員としての正しい判断力と健全な納税者意識を持つ国民を育成することでもあり、併せて国民に対し税理士制度を正しく周知することである。効果的な租税教育等により納税に対する健全な知識が醸成されれば、民主国家の発展に大きく寄与することとなり、これは教育基本法の教育の目的である「平和で民主的な国家及び社会の形成者として必要な資質を備えた心身ともに健康な国民を育成する」ということにも合致するものである。
3 租税教育等における税理士の役割
税理士法第1条では税理士の使命として、「税理士は、税務に関する専門家として、独立した公正な立場において、申告納税制度の理念にそって、納税義務者の信頼にこたえ、租税に関する法令に規定された納税義務の適正な実現を図ることを使命とする。」と規定している。また、税理士は租税に関する法令を熟知し、あるべき税制について国に対し建議ができる専門的能力を有しており、一方で日常的に広く納税者に接し、納税者の良き理解者でもある。 従って税理士は、租税教育等のテーマである税とは何か、なぜ税金を納めなければならないのか、税がどのように使われているかなど、独立した公正な立場で税の役割について指導すべき適任者であると言える。
つまり、税理士は、教育関係者、行政機関などに租税教育等の充実を求め、啓発に努める社会公共的使命を担っていると言っても過言ではなく、また税理士自身が社会貢献の一環として租税教育等に積極的に取り組むことの意義を十分自覚しなければならない。このことは、無償独占という権利を賦与されていることに対する税理士の義務と考えることもできよう。 租税教育等を通じて申告納税制度の維持発展に寄与することにより、広く社会に向けて国民の信頼に応え、納税者の期待に応えることができれば、申告納税制度と不可分の関係にある税理士制度の発展にもつながるものである。
4 租税教育等の対象
税理士会が行う租税教育等の対象は以下のとおりである。
①学校教育法における児童、生徒及び学生
小学校、中学校に偏ることなく、社会に出る直前の高等学校、大学等の生徒、学生も対象としバランスのとれた租税教育体系の構築に努める。また、特別支援学校に対して手話や点字により行われる租税教育等にも積極的に取り組む。
②小学校、中学校、高等学校の教員又は教員になろうとしている者
効果的かつ効率的な租税教育等を進めるには、児童、生徒及び学生に授業として直接教える立場にある教員等が、より一層税に関する知識を持つことが有効である。教員研修や教員養成大学等での教員養成の課程等で税理士を講師とする租税の科目を設けるなどにより、教員自らが税に対する知識を深め教育を行えるよう税理士会が支援する。
③社会人
一般社会人については、その多くが給与所得者であり自らの所得税も年末調整で完了してしまう等、租税に対する関心や納税者としての自覚を持ちにくい状況にある。租税制度が複雑化し、種々の情報が横溢する状況下で、学校教育以外の分野においても租税教育等の重要性、必要性が一段と増している。社会人教育について「生涯教育」或いは「生涯学習」という概念が普及している。生活との関連においての学習、生活の中の教育機能の重視という観点から、税理士の専門知識を活用した社会人全般を対象とする広い分野での租税教育等にも取り組む。
5 指針の改廃
当指針の改廃については、正副会長会の議を経なければならない。
【租税教育推進関係省庁等協議会の設置】
平成23年11月に、総務省、文部科学省、国税庁を構成員とした「租税教育推進関係省庁等協議会」が設置されています。
これは、平成23年度税制改正大綱(平成22年12月16日閣議決定)に基づき、文部科学省、総務省及び、国税庁等が協力し、小学校、中学校、高等学校、大学等の各学校段階における租税教育の充実や、租税教育を担う教員等に対する意識啓発について協議、確認等を実施し、都道府県・市町村租税教育推進協議会等と連携して租税教育の推進及び租税教育の充実のための環境整備を図ることを目的として設置されたものです。
日本税理士会連合会は、この賛助会員となっています。

⑪会費に関する規定
会費に関する規定については、およそ団体が活動を行うからには、それを維持するための会費等の収入が必要であり、会費の種類、会費の定め方、金額、納入方法、納入しない場合の措置等について定めることになる。
⑫庶務及び会計に関する規定
庶務及び会計に関する規定は、税理士会がその目的に沿った活動を行うには、意思決定を行う総会等の会議や役員のみでは満足な会活動は困難であり、会の庶務、会費の徴収、経費の支出等の事務については、その担当者を置いて処理することが通例であるから、このような庶務や会計の処理に関すること、担当職員とその数に関すること等を定めることになる。

会則の変更に関する財務大臣の認可

税理士会の会則の変更(政令で定める重要な事項に係るものに限る。)についても、財務大臣の認可を受けなければならないこととされている(法49の2③)。
税理士会の運営は会則に従って行われるのであるから、会則を変更する場合にも、基本的には、設立のときと同様に財務大臣の認可を受けるのが筋であるが、一方、税理士会の自主性を尊重することも必要であるから、財務大臣の認可事項は、特に重要な事項に限定されている。すなわち、税理士法49条の2第2項4号から10号に掲げる①会議に関する規定、②税理士の品位保持に関する規定、③会員の研修に関する規定、④会員の業務に関する紛議の調停に関する規定、⑤税理士業務に係る使用人その他の従業者に対する監督に関する規定、⑥委嘱者の経済的理由により無償又は著しく低い報酬で行う税理士業務に関する規定、及び⑦租税に関する教育その他知識の普及及び啓発のための活動に関する規定に限って財務大臣の認可事項とされ、これら以外の事項の変更については、税理士会の自主性に委ねられている(令7の2①)。
税理士会がその会則の変更につき財務大臣の認可を受けようとするときは、会則の変更の認可申請書に、変更前の会則及び変更後の会則(会則の変更案及び変更の理由を具体的に記載した書類、会則の新旧対照表)とその会則の変更に関する総会の議事録を添付して、税理士会の主たる事務所の所在地を管轄する国税局長、国税庁長官を経由して財務大臣に提出しなければならないこととされている(令7の2②③、基通49の2-1)。
なお、会則の変更は、それが特に重要な議事であることにかんがみ、総会の特別議決を経ることを要するものとし、財務大臣の認可事項であると否とを問わず、会則の変更をしようとする場合には、会員である税理士の2分の1以上の者が出席し、その出席者の3分の2以上の賛成によらなければこれを議決することができないこととされている(令9②)。