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第49条の17総会の決議の取消し

財務大臣は、税理士会又は日本税理士会連合会の総会の決議が法令又はその税理士会若しくは日本税理士会連合会の会則に違反し、その他公益を害するときは、その決議を取り消すべきことを命ずることができる。

税理士及び税理士法人の使命及び職責並びに税理士会、日本税理士会連合会の業務の公共性にかんがみれば、税理士の団体の運営のいかんが納税義務者、税務行政に及ぼす影響は極めて大きいといわなければならない。
このため、税理士会又は日本税理士会連合会の総会の決議が、法令に違反し、その他公益を害するときは、財務大臣は総会の決議を取り消すことができる。
なお、従前、財務大臣の監督権限として規定されていた役員の解任権については、税理士会及び日本税理士会連合会の運営状況を勘案すれば、これらの団体の自治権のもとで自発的是正が十分に期待でき、人事権の介入までは不要ではないかと考えられたことから、平成13年の法改正において廃止された。

【参考】

【国会議事録(抄)】平成13年4月5日 参議院・財政金融委員会
大門実紀史委員(共)
日税連の要望書の中には、今のことともかかわるんですが、「税理士会の自主性の確立」という項目の中に、49条の16に当たりますが、財務大臣による日税連あるいは税理士会の総会決議の取り消しと役員の解任の規定を両方とも廃止してもらいたいという要望がありましたけれども、今回はその役員の解任の廃止だけになっております。その総会決議の取り消しは依然残っているわけですが、これはなぜでしょうか。

大武健一郎政府参考人(国税庁次長)
お答えさせていただきます。
ただいま先生からお話がありましたとおり、昨年9月、日本税理士会連合会から提出された要望書の中には二つの事項がございまして、総会決議の取り消しと役員の解任規定の廃止というのがありました。
我々も国税庁として日税連と御相談させていただきましたが、日税連等の創設以来ちょうど50年余の歴史から見ましても、極力自主的な運営をやる、そういう実力も能力もありますし、現在の行政庁と日税連の信頼関係を考えますと、さらには今後の相互信頼の一層の確立という観点からも、できるだけのいわば自主性というのは進めていきたいというふうに思ったわけでございます。特に、人事権まで行政が介入する必要性は必ずしもないのではないかということから、大臣による役員の解任規定は削除させていただくということにさせていただきました。
ただ、もう先生よくおわかりのとおり、先ほど来の御質問の中にもあったとおり、税理士法1条というのは、独立した公正な立場で納税者の納税義務の適正な実現を図るという極めて公共性の高い使命を持った職業でございまして、そういう意味では、日税連等の高い公共性というもののいわば担保といいますか、適正な運営確保ということをやはり行政庁として国民に対する責任という観点からどうしても維持しなければならない、そういう意味では総会決議の取り消し権の廃止までは適切ではないというふうに考えたところでございます。
いずれにしても、他の士業、公認会計士法とか先ほど来出ております弁理士法等他の士業の法律では、行政庁の権限として、総会決議の取り消しと役員の解任と両方実は権限として持っているわけで、ある意味でいいますと、この人事権への介入といいますか削除というのは、我々としてはかなりその自主性を認めようとして進めたところであるということは御理解いただきたいと存じます。

大門実紀史委員(共)
そうしますと、総会の決議の取り消しというのは、具体的にどんな決議を税理士会なり日税連がしたことを想定されているんですか、公益性に反すると言いますけれども。

大武健一郎政府参考人(国税庁次長)
具体的にかつて決議の取り消しというのを行ったことなどございません。したがいまして、現在の信頼関係からそのようなことはやはり想定しにくい、日税連はしっかりした団体だと私どもは思っておりますが、しかし最終的には、国民に対する責任という意味で留保しなければならないということで規定は残させていただいている、こういうことでございます。
【国会議事録(抄)】平成13年5月25日、衆議院・財務金融委員会
吉井英勝委員(共)
弁護士の場合には、弁護士会自治が原則的に確立されていますね。税理士会の場合は、第49条の16で、今度は役員の解任の部分は削除ですが、総会決議の取り消しということで、財務大臣、課税庁の管理監督のもとに置かれるということで、納税者が争う課税庁から独立した存在ではない。税理士会自治が制度的に保障されていないという問題があると思うんですね。
私は、どうも、税理士さんたちを課税庁の意向に沿うように囲い込んでという御意向が、今の御答弁を聞いておっても非常に強く感じられるんですが、私は、こういう部分は削除して、やはり税理士会自治の尊重、そして税理士会自治と税理士の皆さんに課税庁からの独立というものをやはりきちんと保障していくのは当然のことだと思うのですが、これは大臣、やはりそういう方向へいかなきゃいけないんじゃないですか。

大武健一郎政府参考人(国税庁次長)
今回の改正は、やはり、先生言われますように、日本税理士会の自治ということを尊重するという視点ではございます。特に今回、日本税理士会及び各税理士会は、税理士の義務の遵守あるいは税理士業務の改善、進歩を図るために税理士に対する指導監督等を行うという目的で設立された、高い公共的使命を担っている、そういうことでございまして、税理士業務の適正な運営を確保するという行政責任も同時にその点から出てくる。したがって、必要な監督権限は維持していくことが必要だ。
一方で、これまで日税連及び税理士会の運営状況を勘案いたしますと、この両会の自治権のもとで自発的是正が十分期待できるので、人事権の介入までは必要ではないと考えられるので、役員の解任規定、そういうものについては廃止するということにしたものでございます。

植田至紀委員(社)
今既に御説明いただきましたように、税理士の自主性の確立の観点からすれば、今回の役員の解任規定がなくなったということは評価はしたいわけです。
ただ、「総会の決議についてはこれを取り消すべきことを命じ」というところも、今も御説明ありましたけれども、別に、これも今回の改正で外したって、そんなに不都合があったんでしょうか。そこをもう一度ちょっと詳しくお話しいただけますか。きして不都合はなかったと思うんですが。

大武健一郎政府参考人(国税庁次長)
先ほど来申しましたように、税理士会には大変強い公共性を付与されているわけでございまして、その税理士会を、当然、長年の経緯から強い信頼関係を我々持っておりますけれども、しかし、最後のところで、総会決議について取り消し権まで廃止してしまいますと、我々に与えられた国民に対する責任という観点からいかがなものか。そういう意味では、規定としては置かせていただいている、こういうことでございます。