6 章 税理士会及び日本税理士会連合会(第49条〜第49条の21)

税理士法に基づいて税理士が組織する団体として、税理士会と日本税理士会連合会があり、この章は、この組織について規定されている。

第49条税理士会

税理士は、国税局の管轄区域ごとに、一の税理士会を設立しなければならない。
2 税理士会は、会員である税理士の数が財務省令で定める数を超える場合には、財務省令で定めるところにより、国税庁長官に対し、当該税理士会が設立されている区域内において新たに税理士会を設立することができる区域(以下「指定区域」という。)を定めることを請求することができる。 3 国税庁長官は、前項の規定による請求があつたときは、財務省令で定めるところにより、当該請求をした税理士会が設立されている区域内において指定区域を定めることができる。 4 前項の規定により指定区域が定められたときは、当該指定区域内に税理士事務所又は税理士法人の事務所の登録を受けた税理士は、当該指定区域に一の税理士会を設立することができる。 5 前項の規定により新たに税理士会が設立されたときは、その設立の時において、当該税理士会が設立された指定区域は第2項の規定による請求をした税理士会(以下この項において「前の税理士会」という。)が設立されていた区域から除かれるものとし、当該前の税理士会が設立されていた区域のうち当該指定区域以外の区域は第3項の規定により国税庁長官が定めたものとし、当該前の税理士会は前項の規定により設立されたものとする。 6 税理士会は、税理士及び税理士法人の使命及び職責にかんがみ、税理士及び税理士法人の義務の遵守及び税理士業務の改善進歩に資するため、支部(第49条の3第1項に規定する支部をいう。)及び会員に対する指導、連絡及び監督に関する事務を行うことを目的とする。 7 税理士会は、法人とする。 8 税理士会は、その名称中に税理士会という文字を用いなければならない。

税理士会及び日本税理士会連合会(第49条ー49条の21)

税理士会及び日本税理士会連合会

税理士会は、その前身である税務代理士会当時から、様々な沿革をたどって今日に至っている。
税理士会は、税理士及び税理士法人がその使命を十分に果たし、義務を守り、税理士業務の改善進歩に資するための、税理士及び税理士法人の自治的団体として、能率的に運営されるとともに、税理士及び税理士法人に対する指導、連絡及び監督等の観点からも便宜なものであることが必要である。こうした観点に加えて、行政の対応をも考慮して、税理士は国税局の管轄区域ごとに一の税理士会を設立しなければならないこととするいわゆる一局一会制が基本とされている(法49①)。
しかしながら、税理士による税理士会の強制設立が定められた、昭和31年の改正法施行の際に、これまでの旧民法第34条の規定に基づく社団法人たる税理士会が複数設立されていた国税局の管轄区域内においては、現存する会の数以内の税理士会の設立が認められた結果、昭和31年の秋には、全国17の社団法人である税理士会が解散し、税理士法に基づく17の税理士会が発足した。なお、これら17の税理士会のうち、大阪国税局管内の大阪、関西、近畿、神戸、京都の五税理士会が、昭和39年に大阪合同税理士会(現在は近畿税理士会)として合併したことにより全体で13税理士会となり、昭和47年の沖縄復帰に伴い沖縄税理士会を加え、さらに平成13年4月2日、東京地方税理士会が税理士法第49条第2項~第5項の規定に基づき分割し、新たに千葉県税理士会が設立され、現在の15税理士会となった。

税理士会の設立

税理士会は登録即入会制(強制加入制)が採られ、一局一会制を基本としていることから、税理士会が解散したことによって国税局の管轄区域内に税理士会が存在しないことになったり、また、国税局が分割されて新たに国税局が設置されたような場合には、その国税局の管轄区域内に税理士事務所を有する税理士は税理士会を設立しなければならないことになる。

税理士会の分割

税理士会は、国税局の管轄区域ごとに一会とする一局一会制が原則とされているところ、会員である税理士の数が余りに多くなると、個々の税理士の意思が税理士会の運営に十分に反映されにくくなったり、税理士会の運営に統一や調和を欠くといった弊害が生ずるおそれがある。
このため、昭和55年の改正で、税理士会からの請求により、税理士会を分割することができることとなった。
すなわち、税理士会は、会員である税理士の数が5000人(規23①)を超えることとなった場合に、国税庁長官に対して、その税理士会が設立されている区域内において、新たに税理士会を設立することができる区域(以下「指定区域」という。)を定めるよう請求することができる(法49②)。
この請求をしようとする税理士会は、指定区域を定めることを請求する旨を記載した申請書に、その請求がその税理士会の総会その他正当な権限を有する機関の議決に基づくものであることを証する書面を添付して、これをその税理士会の主たる事務所の所在地を管轄する国税局長を経由して国税庁長官に提出しなければならない。
この場合、その税理士会が指定区域として定められることを希望する区域があるときは、その希望する区域を記載した書面及びその区域内に税理士事務所又は税理士法人の事務所の登録を受けた税理士の3分の2以上が、その区域において新たに税理士会を設立することに賛成であることを明らかにする書面を申請書に添付しなければならないこととされている(規23②)。
税理士会を分割する場合の手続として、まずその税理士会からの請求が必要とされているのは、税理士の自治的団体である税理士会にとって、その分割がその存立の基盤にかかわる基本的問題であるため、当該税理士会の会員の意思を尊重すべきことは当然であり、所属会員の意向を十分に反映させたうえで、分割手続を進めていくことが税理士会の適正、円滑な運営にとって不可欠であると考えられたことによる。
税理士会から指定区域を定める旨の請求があると、国税庁長官は、財務省令(規23③)で定めるところにより、当該請求をした税理士会が設立されている区域内において指定区域を定めることができる(法49③)。
国税庁長官が指定区域を定めるに当たっては、①一の税務署の管轄区域の一部のみが指定区域に含まれることとならないこと、②指定区域において新たに設立される税理士会の会員となるべき税理士の数及びその分割後存続することとなる税理士会の会員となるべき税理士の数のいずれもが、分割基準である5,000人のおおむね3分の1を下回らないようにしなければならないこととされている(規23③)。
こうして指定区域を定めたときは、その指定区域及び新たな税理士会を設立することができる期限を、また、指定区域を定めないこととしたときはその旨を、その指定区域を定めることを請求した税理士会に対して、国税庁長官は書面で通知する(規23④)。
指定区域が定められると、その指定区域内に税理士事務所又は税理士法人の事務所の登録を受けた税理士は、後述の税理士会の設立手続に従い、その指定区域に一の税理士会を設立することができる(法49④)。
ただし、指定区域が定められた場合であっても、最終的に新たな税理士会を設立するかどうかは、その指定区域内に税理士事務所又は税理士法人の事務所の登録を受けた税理士の自主性に委ねられている。
指定区域内に新たな税理士会が設立されたときは、その設立の時において、当然のことながら、分割前の税理士会が設立されていた区域から、その指定区域は除かれることになる。
また、その分割後存続する税理士会は、分割前の税理士会が設立されていた区域のうち指定区域以外の区域を、法49条3項の規定により指定区域として定められたものとされ、その指定区域に法49条4項の規定により設立された税理士会とされる(法49⑤)。この場合の分割後存続する税理士会は、その分割に際して、特に手続きは必要ない。
この規定により、平成13年4月2日、東京地方税理士会から千葉県税理士会が分割、設立されている。

【国会議事録(抄)】昭和54年6月5日 衆議院大蔵委員会
宮地正介委員(公明党)
先ほど少しお話しありましたが、一局複数会制についても、やはり志を同じくする者が自由に選択して会に加入できる、いわゆる自由加入制によるこの複数会というものの検討というものについてはどういう配慮をされたのか。

福田幸弘政府委員(大蔵大臣官房審議官)
本来は一局一会がこういう業法の場合の基本であります。これは各業法ともこうなっております。弁護士会について例外がある、こう言われますが、弁護士法はやはり本則で一裁判所一会ということになっております。地域によって行政が行われる以上、その地域に応じた職業人の団体ができるというのは基本であります。ただ弁護士の場合は、すでにありました弁護士会について附則の方でそれは定められた形で残っておりますが、すべての業法は一行政単位というか、国税で言えば一国税局に一税理士会、これが原則であります。
しかし、ここで問題になりますのは、余りに大きくなりました税理士会についてアンコントローラブルというか、非常に意思が反映しないし、実態がそぐわないという問題が出てまいります。ここでそれを分割するかという問題がございますが、改正法案は、税理士会から申し出があって、その会員の数が相当大きい場合の分割規定を設けておるわけです。
これはいろいろ考え方があるのですが、強制分割という考え方が一つあろうと思うのです。これはやはり民主的なあり方としてはいかがかという批判があります。それからもう一つは、職能別とかまた思想その他を異にする団体が一区域内に幾つもできるということは、先ほどの地域を前提にする団体の性格に反しまして、また行政上もその対応に苦慮する、そういうことで、やはり地域が前提になろうかと思います。だから地域の分割がどういう形で行われるか、それは国税庁長官が線引きをいたしますけれども、その発議を税理士会がするということになっておりますが、これは税理士会の良識と申しますか、税理士会の中でそれだけ大きくて意思がどうも反映しないという意見が多ければ、その分割が動くように今後すべき問題であって、これを上から分割すべきであるとか、また職能別で任意に団体をつくっていくということになれば、これは本来の行政上の職業人の団体の性格に合わないというふうに考えます。

宮地正介委員(公明党)
地域別にしたこの強制加入制というものは、法的に無理は生じないのか、この点についてはどうですか。

福田幸弘政府委員(大蔵大臣官房審議官)
むしろ法的に申しますと、さきのように一局一単位という各業法とのバランスから、また考え方の基本が行政と対応しておりますから、したがいまして、これは法律的には一局一会が正しいのですが、そこはその中で過大になった場合に地域によって分割する、これは長官が実情に応じてその人数を考えて線引きをやると思います。これは法律的には正しいわけでありますが、これが機動的に発動し得るかは今後の経過を見る必要があろうと思いますが、会員の意思が十分に反映するように運営される必要があろうかと思います。

税理士会の目的

税理士及び税理士法人は、税務に関する専門家として、独立した公正な立場において、申告納税制度の理念にそって、納税義務者の信頼にこたえ、租税に関する法令に規定された納税義務の適正な実現を図ることを使命としており、このような使命を担い、公共性の高い税理士業務を独占業務として営む税理士及び税理士法人にとって、自ら研さんし、積極的にその資質、品位の向上等に努めることは当然に要請されるところといえる。
税理士会は、このような税理士及び税理士法人の自治的団体として、税理士及び税理士法人の使命及び職責にかんがみ、税理士及び税理士法人の義務の遵守、税理士業務の改善進歩に資するため、税理士会の支部及び会員に対し、指導、連絡及び監督に関する事務を行うことを目的としている(法49⑥)。

税理士会の法人格

税理士会は、税理士法の規定によって設立される特別な法人であり、税理士会の法人格は、税理士法によって付与されている(法49⑦)。
税理士制度の前身に当たる税務代理士制度においては、現在の税理士会に当たる税務代理士会は、税務代理士法に基づく特別法人とされていたが、昭和26年に、税務代理士制度が税理士制度に引き継がれたときに、税務代理士会は税理士会へと名称を変えるとともに、民法上の社団法人へと組織変更が行われた。
その後の昭和31年の法改正において、税理士会は、税理士法に基づく特別法人とされ、現在に至っている。

税理士会の名称

税理士会は、その名称中に税理士会という文字を用いなければならない(法49⑧)。
反対に、税理士会でない団体が税理士会又はこれらに類似する名称を用いることは禁止されている(法53③)。この名称使用の制限に違反すると、100万円以下の罰金に処せられることになる(法61③)。