5 章の 2

第48条の11業務を執行する権限

税理士法人の社員は、すべて業務を執行する権利を有し、義務を負う。
2 税理士法人の社員は、定款によつて禁止されていないときに限り、特定の行為の代理を他人に委任することができる。

税理士法人は税理士業務を組織的に行うことを目的として、税理士が共同して設立した法人であるから、制度の趣旨として税理士法人の社員は、すべて業務を執行する権限を有し、義務を負うこととされており、この社員の業務を執行する権限は、定款によっても制限することができない。よって、出資のみを行い業務執行を行わない社員について、定款の定めによっても認めることはできない。

業務の執行

業務の執行とは、税理士法人の本来の業務である税理士業務など定款に定める業務のほか、税理士法人の経営に関する法律行為、例えば、顧客との契約締結行為などの法律行為だけでなく、帳簿の作成(法41)、使用人の管理・監督(法41の2)などの事実行為も含む。税理士法人の経営に関する事務の執行であっても、定款変更、持分の譲渡、解散、合併等の税理士法人の組織や存立自体に関する行為は業務の執行に含まれず、原則的に総社員の同意が必要とされている。ただし、定款変更、持ち分の譲渡及び解散は定款で別段の定めがある場合を除く(法48の13①、48の18①、48の19①、48の21①、会社法585①④準用)。

代表社員

税理士法人の業務執行権を有する社員は、原則として各自が法人を代表するが、総社員の同意(定款又は定款の定めに基づく社員の互選)によって、税理士法人を代表する社員(代表社員)を定めることができる(法48の21①、会社法599①~③準用)。
なお、共同代表の定めは、旧商法77条の準用により適用があったが、会社法では共同代表制度が廃止されたので、税理士法人においても適用がなくなった。
代表権は、税理士法人の業務に関する一切の裁判上又は裁判外の行為をなす権限に及ぶものであり、これを制限しても善意の第三者には対抗することができない(会社法599④⑤準用)。
なお、税理士法人を代表するに当たり不正の行為等がなされたときや、代表することに著しく不適任なときは、当該代表社員以外の社員の過半数の決議をもって、代表権の消滅の訴えを提起することができる(会社法860~862準用)。

社員の責任(無限連帯責任)

① 社員の責任内容
税理士法人の各社員は、税理士法人の財産をもって債権者に対する債務を完済することができないとき、又は税理士法人の財産に対する強制執行が効を奏しなかったときは、それぞれ連帯して税理士法人の債務を弁済する無限の責任を負う(法48の21①、会社法580①準用)。
しかし、その責任は、法人の財産をもってまず引当てとする二次的なもので、税理士法人に弁済の資力があり、かつ強制執行も容易であることを証明したときは、社員は免責される(会社法580①二準用)。
法人の債務が消滅すれば、社員の責任も当然になくなるが、社員は、法人に属する抗弁を直ちに援用でき、また法人に属する権利(相殺権、取消権又は解除権)を援用してその履行を拒むことができる(会社法581準用)。
② 加入社員、脱退社員等の責任
税理士法人の成立後に新たに加入した社員は、加入前に生じた税理士法人の債務についても責任を負うこととされている(会社法605準用)。
また、脱退した社員は、債権者保護のために、脱退の登記後2年間は、脱退登記前に生じた税理士法人の債務について従前の責任の範囲内で責任を負う(会社法612準用)。
なお、税理士法人が解散して清算手続に入った場合でも、清算の進行とは関係なく、社員は、解散の登記後5年間は、無限連帯責任を負う(会社法673①準用)。