5 章の 2

第48条の8設立の手続

税理士法人を設立するには、その社員になろうとする税理士が、共同して定款を定めなければならない。
2 会社法(平成17年法律第86号)第30条第1項の規定は、税理士法人の定款について準用する。 3 定款には、少なくとも次に掲げる事項を記載しなければならない。 一 目的
二 名称
三 事務所の所在地
四 社員の氏名及び住所
五 社員の出資に関する事項
六 業務の執行に関する事項

第48条の9成立の時期

税理士法人は、その主たる事務所の所在地において設立の登記をすることによつて成立する。

第48条の10成立の届出等

税理士法人は、成立したときは、成立の日から2週間以内に、登記事項証明書及び定款の写しを添えて、その旨を、その主たる事務所の所在地を含む区域に設立されている税理士会(以下この章において「本店所在地の税理士会」という。)を経由して、日本税理士会連合会に届け出なければならない。
2 日本税理士会連合会は、財務省令で定めるところにより、税理士法人の名簿を作成し、これを国税庁長官に提出しなければならない。 3 日本税理士会連合会は、財務省令で定めるところにより、前項の名簿を磁気ディスクをもつて調製することができる。

税理士法人は、税理士業務を組織的に行うことを目的として、税理士が共同して設立する法人であり(法48の2)、それを設立するには、その社員になろうとする税理士が法人の目的、組織及び業務執行等に関する根本規則である定款を共同して定め、その主たる事務所の所在地において設立の登記をすることによって成立する。 なお、定款を作成したときは、社員の全員がこれに署名(又は記名及び押印)し、公証人の認証を受けなければ効力が生じない(法48の8②、会社法30①準用)。

定款の記載事頃

定款の記載事項は、次のとおり絶対的記載事項、相対的記載事項及び任意的記載事項に分けられる。
【絶対的記載事項】
定款に記載されなければ、定款の無効だけでなく、税理士法人自体の設立の無効をきたす事項である。法48条の8第3項は、次の事項を、定款に記載するよう規定している。
① 目的
② 名称
③ 事務所の所在地
④ 社員の氏名及び住所
⑤ 社員の出資に関する事項
⑥ 業務の執行に関する事項
【相対的記載事項】
定款に記載しなくとも定款の効力に影響はないが、定款に記載しなければ税理士法人の法律関係としての効力が認められない事項である。例えば、代表社員に関する定め、社員の脱退事由、労務又は信用による出資者の脱退の場合の持分の払戻しについての別段の定め、解散事由、解散時の財産の処分方法、定款変更に関する定め等である。
【任意的記載事項】
定款に記載がなくとも定款の効力に影響がなく、また、定款に記載しなければ税理士法人の法律関係としての効力が認められないというものではないが、便宜上記載される事項である。例えば、税理士法ですでに規定されたことを確認的に記載したような事項や決算期、利益処分に関する事項等がある。

目的

税理士法人の目的は、法48条の5で定める業務の範囲内で定款に自由に定めることができるが、法2条1項に規定する税理士業務を必須として、同条2項の税理士業務に付随して行う財務書類の作成、会計帳簿の記帳代行その他財務に関する事務及び規則21条に規定する税理士業務に付随しない財務に関する事務並びに法2条の2の規定により税理士が処理することができる事務(補佐人業務)の受託とに限定されている。
したがって、税理士法人の定款における「目的」には、会社法上の株式会社等の定款において通常規定される「その他前各号に附帯(又は関連)する一切の業務」等の記載は、認められないこととなる。

名称

税理士法人は、税理士が共同で設立する法人であることを明確にするため、その名称中に「税理士法人」という文字を使用しなければならない(法48の3)。
なお、会社法の改正により類似商号の禁止規定はなくなったが、改正前から税理士法人の名称には、商業登記法の類似商号登記の禁止規定が準用されていなかった。

事務所の所在地

税理士法人の事務所の所在地については、主たる事務所と従たる事務所の全部を記載しなければならない。所在地は、所在の場所ではないから、最小行政区画、すなわち、○○府(県)○○市(政令指定都市の場合は、○○市○○区)と記載すれば足りる。

社員の氏名及び住所

税理士法人の社員は、税理士でなければならない(法48の4①)。
社員は、会社債権者に対して直接・無限・連帯の責任を負うため、その税理士たる社員の氏名、住所を記載する。なお、法48条の8(設立の手続)の「社員は共同して定款を定める」の規定、および法48条の18(解散)の第2項で「社員が2人以上にならなかった場合においても」解散となる旨が規定されていることから、税理士法人の設立には、2人以上の社員が必要である(基通48の8-1)。したがって、最低2人以上の社員の記載がなければならない(所属税理士は、社員税理士ではないので人数には含まれない。(規8二))。
【旧姓の使用】
税理士法人の社員税理士については、組合等登記令(昭和39年3月23日政令第29号)に基づいて戸籍上の「氏名」が登記されることから、日本税理士会連合会では旧姓の使用を制限していた。
しかし、税理士の登録区分によって旧姓使用を制限することによる税理士間の不利益を是正し、その取扱いの一貫性を確保するとともに、登記上の氏名とは別に旧姓使用を認めている他の士業法人における取扱いとの整合性にも配慮した納税者に誤解や混乱を生じさせない制度とすべく、平成21年4月以降、当該制限は解除され、社員税理士についても旧姓使用が容認されている。
なお、商業登記規則等の改正により、平成27年2月27日以降、社員の加入等の登記の申請をするときには、婚姻前の氏をも記録することを申し出ることができることとなった(商業登記規則81条の2)。

社員の出資に関する事項

税理士法人には、その活動の基礎となる財産が当然に必要であるから、社員は出資義務を負う。出資については、3種類、すなわち、財産出資(金銭、現物)のほか、株式会社と違って、信用、労務の出資が認められている。
定款には、金銭、現物、信用、労務の種類だけでなく、その客体(例えば、金銭出資の額、現物出資の対象たる土地等の所在地・面積等)を具体的に記載することが必要である。労務出資の場合は、労務内容・時間の具体的表示が必要である。信用出資の場合は、「信用」とだけ記載すれば足りる。労務・信用の出資額については、定款に記載されるのみで貸借対照表の資本金には含まれない。また、社員は無限責任を負うため、法人の登記簿には社員の住所・氏名のみが記載され、出資の額は記載されない。
利益配当や出資持分は、社員間の合意で自由に決めることができるが、その割合を計算するための基準として、「出資の価額」が必要となる。
「出資の価額」とは、出資の目的物を金銭に見積もった評価額(評価の基準でもよい)をいう。評価の基準とは、例えば、「信用の出資は、財産出資の最低額に準ずる」という定め方をいう。

業務の執行に関する事項

税理士法人の社員は、すべて業務を執行する権利を有し、義務を負うことになる(法48の11)。合名会社の場合と異なり、代表権限により他の社員の業務執行権限を制限することはできない(法48の21③は会社法590、591を準用していない)。 なお、代表者の定めの有無や、各社員が業務をどのように分担して執行するかは、定款や社員の過半数の決議により決めることになる。

設立の無効

定款に絶対的記載事項の記載がない又はその記載が違法、公序良俗に反するなどの理由で無効な場合、設立登記が無効な場合や、出資等の意思表示に錯誤があり無効な場合等は、税理士法人の設立無効原因となる。設立の無効は訴えのみによって提起が可能である(法48の21④、会社法828①一)。設立無効の判決が確定したときは、将来に向かってその設立の効力は失われる(法48の21④、会社法839)。
また、設立無効の訴えを提起できるのは社員のみであり(会社法828②一)、訴えの提起期間は成立の日から2年以内である(会社法828①一)。無効の訴えが容認された場合は、解散の場合に準じて税理士法人を清算することとなる。

成立の届出

税理士法人は、設立登記によって成立したときは、成立の日から2週間以内に、登記事項証明書及び定款の写しを添えて、成立した旨をその主たる事務所の所在地を含む区域の税理士会(以下「本店所在地の税理士会」という)を経由して、日本税理士会連合会に届け出なければならない(法48の10①)。
また、税理士法人は、成立のときに、当然、本店所在地の税理士会の会員となる(法49の6③)。