5 章の 2 税理士法人(第48条の2〜第48条の21)

第48条の2設立

税理士は、この章の定めるところにより、税理士法人(税理士業務を組織的に行うことを目的として、税理士が共同して設立した法人をいう。以下同じ。)を設立することができる。

税理士法人制度については、次のような社会的要請に応えるため、従来、税理士が個人として行うこととされていた税理士業務を、新たに法人形態でも行い得るようにするため、平成13年の改正により創設された。
① 税理士業務の共同化を促すことは、複雑化・多様化、高度化する納税者等の要請に対して、的確に応えるとともに、業務提供の安定性や継続性、より高度な業務への信頼性を確保することが可能となり、納税者利便の向上に資するものであること
② 「規制緩和推進3か年計画(再改定)」において、税理士について法人制度の創設を検討すべきこととされていること

税理士法人の性格

【使命】
税理士法人には、法1条「税理士の使命」が準用される(法48の16)。
すなわち、税理士法人制度は、納税者の要請に応えるために創設された制度であることから、税理士法人は、個人たる税理士と同様「納税義務の適正な実現を図る」という公共的使命を持った法人として運営されなければならない。
【特別法人】
税理士法人は、税理士法に基づき、社員を税理士に限定した特別法人とされ、会社法上の合名会社に準じている。
「会社法上の合名会社」は、次のような特色をもっている。
① すべての社員が、会社債権者に対し、直接に連帯して無制限に責任を負う。
② 社員の信頼が会社の実質的な基礎となり、社員の個性が重視される人的会社である。
③ すべての社員が会社の業務執行を行い、会社を代表する権限を有する。
④ 出資方法は、金銭及び現物出資だけでなく、信用・労務等の無形財産の出資も可能である。
⑤ 社員の地位(持分)の譲渡には、他の社員全員の承諾が必要になる。
⑥ 株式会社とは異なり、組合性が高く、所有と経営が一致した組織体である。

他士業との法人制度比較一覧

各士業の法人制度との主な違いを一覧に示すと、次のとおりである。

税理士法人 監査法人 特許業務法人 弁護士法人
設立 準則主義
(法48の2)
準則主義 準則主義 準則主義
社員資格 税理士
(法48の4)
公認会計士 弁理士 弁護士
社員数 2人以上
(法48の8、基通48の8-1)
5人以上 2人以上 1人から
社員の常駐 所属会員常駐
(法48の12)
所属会員常駐
支店設置 所属会員常駐
(法48の12、基通48の12-1)
弁護士会が許可したときは常駐を解除
業務執行権限 全社員
(法48の11)
全社員 全社員 定款で定める場合を除き、全社員
業務執行方法 社員
(所属税理士も可、法48の15)
社員
(指定社員のみ可)
社員 社員
(指定社員も可)
業務範囲 税理士法で限定
(法48の5、48の6)
公認会計士法で限定 弁理士法で限定 弁護士法で限定のほか、
一部法務省令に委任
社員の
競業禁止
強制
他の税理士法人の社員不可
(法48の14)
強制
他の監査法人の社員不可
特定事件に有り 強制
(他の社員同意で解除)
他の弁護士法人の社員不可
社員の責任 無限連帯
(法48の21、会社法580
無限連帯
(指定社員のみ可)
無限連帯 無限連帯
(指定社員のみ可)
懲戒処分 法人・社員
(法48の20)
法人・社員 法人・社員 法人・社員
法人数 3,273
(平28.3.31本店)
214
(平28.3.31)
239
(平28.3.31)
974
(平28.3.31)

【参考】

【国会議事録(抄)】平成13年5月23日 衆議院財務金融委員会
竹下亘委員(自由民主党)
(中略)
税理士法人の設立が認められるようになった、これも今回の改正の一つの柱だ、率直に言って、いいことだと思います。 既に、公認会計士ですとか弁理士ですとか、法人化が認められております。これから、当然、司法制度の全般的な改革の中で、弁護士あるいは司法書士、行政書士といったような職種の方々も法人化という方向になっていくのは、これはもう社会の流れかなと思います。いろいろな違う分野の専門的な能力を持った人が、法人化ということで力を合わせることによって納税者の利便を向上する、いいことであるし、さらには税理士の事業の継続性といった点からも適切な改正だと思う次第でございます。
そこで、どういうねらい、どういう趣旨、そしてどういう形の法人を認めているのかということをお教え願いたいと同時に、法人制度ができますと、巨大な法人が生まれて、寡占化が進むのではないかという危惧が一部にあるということも伺っております。この点はどう考えればいいのかといったことをまずお答えを願いたいと思います。

尾原榮夫政府参考人(財務省主税局長)
お答えいたします。
今回、税理士法人制度が創設されることになっております。御承知のように、経済の国際化とともに、納税者サイドからの御要請は大変複雑な、また多様な、高度なものになっております。こういう要請に的確にこたえるということのためには、税理士業務の共同化を促していくということが大切であると考えるわけでございます。また、そのようなことにより、業務提供の安定性、継続性、より高い業務への信頼性も確保できるわけでございます。
このようなメリットがございまして、それが納税者の利便の向上に資することになるということが第一点でございます。
また、第二点といたしましても、御承知のように、規制緩和推進三カ年計画というのが閣議決定で決められてございますが、この中におきましても、複雑な多様なニーズにこたえるために、税理士について法人制度の創設を検討すべきとされているわけでございます。このようなことから、今回、税理士法人制度を創設することにしているわけでございます。
具体的な内容について簡単に申し上げますと、今回の税理士法人でございますが、社員を税理士に限定した合名会社に準ずる特別法人というふうにしてございまして、対外的な社員の責任でございますが、これは合名会社と同様、連帯無限責任というふうになるわけでございます。また、社員は二名以上ということにいたしまして、従たる事務所を設ける場合には社員を常駐させることとする。また、業務の範囲でございますが、原則として、個人の税理士が行い得る業務と同様の範囲とする等の規定を設けてございます。
巨大法人についてのお話がございましたが、国税庁の方から答えていただきます。

大武健一郎政府参考人(国税庁次長)
お答えさせていただきます。
ただいま御指摘のございました寡占化の問題というのは、可能性としては否定できないだろうと思います。しかしながら、ただいま局長も申しましたとおり、税理士法人の社員の場合には、他の社員の行為により委嘱した納税者に与えた損害、それに基づきます債務についても連帯無限責任を負っているということが一つ。それからまた、税理士業務においては、納税者との信頼関係、例えば守秘義務などというようなことが重要な要素になっているということなどを踏まえますと、多数の税理士を社員とする大規模な税理士法人が出現して寡占化が進むというおそれは、かなり低いのではないだろうかとは想定しております。
ただ、いずれにいたしましても、制度創設後の実態も、我々として注視してまいりたいと思っているところでございます。