5 章の 2

第48条の14社員の競業の禁止

税理士法人の社員は、自己若しくは第三者のためにその税理士法人の業務の範囲に属する業務を行い、又は他の税理士法人の社員となつてはならない。
2 税理士法人の社員が前項の規定に違反して自己又は第三者のためにその税理士法人の業務の範囲に属する業務を行つたときは、当該業務によつて当該社員又は第三者が得た利益の額は、税理士法人に生じた損害の額と推定する。

税理士法人の社員は、自己又は第三者のために、その税理士法人の業務の範囲に属する業務を行つてはならない。
税理士法人には会社法594条(競業の禁止)の準用がなく、合名会社の場合と異なり、定款又は他の社員の全員の承認があっても「一切」社員の競業が認められない。
「税理士法人の業務の範囲に属する業務」とは、定款に掲げる目的に記載される業務であり、税理士法人が会計業務(法2条2項の業務、規則21条の業務)を定款に記載した場合には、会計業務を行う他の法人の無限責任社員や取締役に就任することはできない。

競業禁止の理由

① 法人の事業上の秘密を保ち、利益衝突を避ける必要があること
② 税理士法人の業務と税理士個人の業務とが混在すると、顧客である納税者等にとって、委嘱の相手方である税理士の立場が法人の社員としての立場なのか、個人の税理士としての立場なのかが暖昧で法律関係が不明確となり、顧客(納税者等)の保護に欠ける面があること

他の税理士法人との兼任

税理士法人の社員は 、他の税理士法人の社員と兼任できない。
他の税理士法人の社員を兼ねることは、税理士法人間での利害対立を避けるため、また、納税者等依頼者との信頼関係を損なわないために禁止されている。この禁止は絶対的であって、他の社員の全員の同意があっても解除されない。

競業禁止違反による損害賠償責任

社員がこの競業の禁止に違反した場合、当該行為によって社員又は第三者が得た利益の額は、税理士法人に生じた損害の額と推定され、当該社員はこの推定を覆せない限り、税理士法人に対し当該損害額を賠償する責任を負う。このほか、他の社員の決議をもって、除名又は税理士法人の社員の業務執行権若しくは代表権の消滅の訴えを裁判所に請求されることがある(法48の21①、会社法596859~862準用)。

利益相反取引の制限

社員は、他の社員の過半数の承認又は定款の別段の定めがない限り、自己又は第三者のために、税理士法人と取引をすることができない(法48の21①、会社法595①一準用)。また、社員が税理士法人を代表して社員個人の債務を保証したり引受けしたりする行為、その他税理士法人と社員の利益が相反する取引(間接取引)も、他の社員の過半数の承認等がなければできない(会社法595①二準用)。
社員が利益相反取引の制限に違反した場合、競業禁止違反と同様の責任が問われる(会社法596859〜862準用)。
なお、所属税理士は、税理士法人の使用人であるため、この規定は適用されない。