5 章の 2

この章では、税理士法人の設立等の手続き及びその業務についてなど、税理士法人制度に関して規定されている。

税理士法人制度創設までの歴史

昭和38年 「税理士制度に関する答申」(政府税制調査会)
税理士業務は、個人が、その責任においてこれを行なうべきものとし、いわゆる個人責任の原則にたって、有資格の自然人以外はこれを行なうことを禁止している現行法は、税理士業務が、委嘱者との間の個人的信頼関係に基づく面がかなりあることからみて、相当であり、法人みずから税理士業務を行なうことを目的とする法人は、時期尚早である。今後、政府において、さらに、社会的必要性の度合、類似の職業専門家に関する規制の進展等ともにらみあわせつつ、慎重な検討をつづけるべき。
昭和55年税理士法改正 衆参両議院の大蔵委員会
衆参両議院の大蔵委員会において「税理士法人については、社会的必要性の度合や税理士業務の性格等を勘案しつつ、今後更に検討を行うこと。」との付帯決議が採択される。
平成3年7月 「税理士法に関する中間意見について(具申)」(日税連制度部)
税理士法人の必要性について、①納税者ニーズの多様化、高度化、②個人の能力の限界、③税理士業務の継続、④事務所経営の安定化、⑤勤務税理士の増加、を掲げ具体的問題点について言及。法人形態については、合名会社に準じた法人形態とし、これに税理士法が予定する性格を付与し、税理士法上の許可制の特別法人とする点以外は、法人の行為、名称、業務執行方法、社員の数ほかについてはA案(法人自体が税理士業務の主体となる形態)、B案(税理士業務は法律行為であるから法人の行為にはなじまないとし、法人を税理士の共同組織体の経済的枠組み(経済主体)として、社員たる税理士が連帯して税理士業務の主体となる形態)の両案を示すにとどまった。
平成5年4月 「税理士法の要改正項目及びその問題に関する報告書」(日税連制度部)
税理士業務の共同化がもたらす有用性は、多くの税理士会員の共通の認識となっており、共同化における組織体の形態としての税理(士)法人制度については、「中間意見」を踏まえつつ、社会的要請を的確に把握しつつ検討を重ね、統一した意見を構築していくことが肝要であると報告。
平成7年6月 「税理士法改正に関する意見(タタキ台)」(日税連制度部)
税理(士)法人制度の導入の必要性を強調するとともに、その法人形態について、法人自体が税理士業務の主体となる形態を採用することを明確に示すとともに、①名称を税理法人とする、②寡占化排除の要請から社員数は下限3人、上限10人程度が相当、③業務の範囲は税理士法第2条の業務とする、④すべての社員の業務執行権を認め、義務を負い、代表社員を限定することができる、⑤業務執行の方法は税理法人が税理士業務を受任し、社員たる税理士、勤務税理士を指定して業務を行わせる、⑥社員の議決権は一人一個とする、⑦設立許可は大蔵大臣あるいは日税連とするほか、競業禁止規定、税理士法上の責任等の問題点について具体的に示し提言。
平成10年4月 日税連、国税庁、大蔵省主税局の3者による勉強会を設置
「タタキ台」について平成12年3月まで計26回の意見交換。
平成12年4月に税理法人の具体的な検討として、項目ごとの検討結果に基づく論点を示した「税理法人に関する論点整理メモ」を公表。
「規制緩和推進3か年計画(再改定)」 平成12年3月 閣議決定
分野別措置事項
【事項名】法人制度の検討
【見直しの基準・視点】
資格者に対する利用者の複雑・多様かつ高度なニーズに応えるとともに、資格者による継続的かつ安定的な業務提供や賠償責任能力の強化などの観点から資格者の法人制度を創設すべきではないか。
【措置内容】
司法書士、土地家屋調査士、税理士、社会保険労務士、弁理士及び行政書士について法人制度の創設を検討する。
【実施予定時期】
平成12年度(検討)
平成12年8月 「税務法人に関する日税連と国税庁の協議要旨」を公表
これまでの検討結果を踏まえた法人制度の全容を明確に示す。
①名称については税務法人あるいは税理士法人、税理士事務所法人のいずれかとする。②法人組織の形態は社員を税理士に限定した商法上の合名会社に準ずる特別法人とする。③社員の人数制限は2人以上とし、上限は設けない。④業務の範囲は原則として税理士法第2条に規定する業務。⑤登記は組合等登記令による登記の義務付け。⑥設立の手続は社員となる税理士が共同して定款を定める。⑦設立の時期は事務所所在地で設立の登記をすることによって成立。⑧入会・退会は登記により事務所所在地の税理士会の会員となる。⑨日税連への届出・名簿については登記したとき税理士会を経由して日税連に届出・日税連に税務法人名簿を備える。⑩業務の執行方法については社員が業務を行うときは税務法人の名称及び業務執行にあたる社員の氏名を明らかにする。⑪社員の競業の禁止については、社員は自己及び第三者のために税務法人の業務の範囲に属する業務を行ってはならない。⑫解散については、社員が一人となった場合に一定期間経過後に解散することを解散事由に加える。⑬違法行為等の処分については、財務大臣が業務停止、解散命令を行うことができる。⑭従たる事務所の設置については制限しない。⑮社員の責任は合名会社の規定を準用する。⑯勤務税理士については税理士業務が行えるようにする方向で検討する。⑰税理士職業賠償責任保険への強制加入については税務法人だけに課すことに対する必要性・合理性をさらに検討する。
平成12年9月 「法人制度」の創設を含む「税理士法に関する改正要望書」を国税庁長官に提出
平成13年税理士法改正
税理士に対する納税者の複雑かつ高度なニーズに応え、税理士による継続的かつ安定的な業務提供を行うため、税理士の共同組織体である「法人制度」を創設。

税理士法人制度創設時の議論

項目 制度創設時の議論   結論
 
総論 ①税理士法人の創設を特別法(税理士法人法)によることの検討
②法1条を税理士法人にどう適用させるかについての検討
③職業賠償責任保険の強制加入の検討
①税理士法において整備された
②法48の16で準用規定が設けられた
③制度化なし
名称
(法48の3)
名称(「税理法人」「税務法人」「税理士業務法人」「税理士事務所法人」等)についての検討 税理士が共同で設立する法人であることを明確にするため、「税理士法人」となった
社員の資格
(法48の4)
税理士以外の者を社員にすることについて 税理士業務を行う法人の意思決定に税理士以外の者が関与することは適当でない
業務の範囲
(法48の5)
業務の範囲は、法2条に規定する業務が原則とされたが、「その他これに準ずる業務」についての検討 「その他これに準ずる業務」については、「定款で定めるところにより、財務省令で定める業務」を行うことができることとなった
登記
(法48の7)
従たる事務所の設置の検討 従たる事務所の設置は社員税理士の常駐(1名以上)を条件に認められた
業務執行権限
(法48の11)
社員の責任に関して、「無限連帯責任」とするか「一部有限連帯責任」とするかの検討 社員は全ての業務を執行する権限を有し義務を負うこととされ、「無限連帯責任」が採用された
競業禁止
(法48の14)
法2条1項の税理士業務は、当然に禁止ということで規定されたが、同条2項の会計業務(付随業務)については検討 税理士法人が会計業務を定款で定めた場合にのみ、会計法人の業務は税理士法人の競業の対象とされた