2 章 税理士試験(第5条〜第17条)

わが国の税理士制度においては、税理士の使命の重要性にかんがみ、税理士業務は税理士の独占業務とされる一方において、税理士になるためには一定の資格が必要とされている。
この章では、税理士になるための資格取得の一つである税理土試験について、その受験資格、試験の目的及び試験科目並びに試験の執行及び試験の免除等が規定されている。

第5条受験資格

次の各号のいずれかに該当する者は、税理士試験を受けることができる。
一 次に掲げる事務又は業務に従事した期間が通算して2年以上になる者
イ 税務官公署における事務又はその他の官公署における国税(関税、とん税及び特別とん税を除く。第24条、第36条、第41条の3及び第46条を除き、以下同じ。)若しくは地方税に関する事務 ロ 行政機関における政令で定める会計検査、金融検査又は会社その他の団体の経理に関する行政事務 ハ 銀行、信託会社(信託業法(平成16年法律第154号)第3条又は第53条第1項の免許を受けた者をいう。)、保険会社又は特別の法律により設立された金融業務を営む法人における政令で定める貸付けその他資金の運用(貸付先の経理についての審査を含む。)に関する事務 ニ 法人(国又は地方公共団体の特別会計を含む。)又は事業を営む個人の会計に関する事務で政令で定めるもの ホ 税理士若しくは税理士法人、弁護士若しくは弁護士法人又は公認会計士若しくは監査法人の業務の補助の事務 ヘ 弁理士、司法書士、行政書士その他の政令で定める法律上資格を有する者の業務 二 学校教育法(昭和22年法律第26号)の規定による大学若しくは高等専門学校を卒業した者でこれらの学校において法律学又は経済学を修めたもの又は同法第91条第2項の規定により同法による大学を卒業した者と同等以上の学力があると認められた者で財務省令で定める学校において法律学又は経済学を修めたもの 三 司法試験に合格した者 四 公認会計士法第8条第1項に規定する公認会計士試験の短答式による試験に合格した者又は当該試験を免除された者(当該試験の試験科目の全部について試験を免除された者を含む。)
五 国税審議会が法律学又は経済学に関し前3号に掲げる者と同等以上の学力を有するものと認定した者 2 前項第1号に掲げる事務又は業務の二以上に従事した者は、これらの事務又は業務の二以上に従事した期間を通算した場合に、その期間が2年以上になるときは、税理士試験を受けることができる。 3 前2項の規定の適用については、第1項第1号に掲げる事務又は業務に類する事務又は業務として国税審議会の認定を受けた事務又は業務は、同号に掲げる事務又は業務とみなす。 4 第1項第5号及び前項に規定する国税審議会の認定の手続については、財務省令で定める。

税理士試験受験資格一覧表 第5条

学 識 大学、短大又は高等専門学校を卒業した者で、法律学又は経済学に属する科目を1科目以上履修した者
大学3年次以上の学生で法律学又は経済学に属する科目を含め62単位以上を取得した者
専修学校の専門課程(①修業年限が2年以上かつ②課程の修了に必要な総授業時数が1,700時間以上に限る。)を修了した者等で、これらの専修学校等において法律学又は経済学に属する科目を1科目以上履修した者
司法試験に合格した者
旧司法試験法の規定による司法試験の第二次試験又は旧司法試験の第二次試験に合格した者
公認会計士試験短答式試験合格者(平成18年度以降の合格者に限る。)
公認会計士試験短答式試験全科目免除者
資 格 日本商工会議所主催簿記検定試験1級合格者
社団法人全国経理教育協会主催簿記能力検定試験上級合格者(昭和58年度以降の合格者に限る。)
会計士補
会計士補となる資格を有する者
職 歴 右欄の事務又は業務に通算2年以上従事した者 弁理士・司法書士・行政書士・社会保険労務士・不動産鑑定士等の業務
法人又は事業を営む個人の会計に関する事務
税理士・弁護士・公認会計士等の業務の補助の事務
税務官公署における事務又はその他の官公署における国税若しくは地方税に関する事務
行政機関における会計検査等に関する事務
銀行等における貸付け等に関する事務
認 定 国税審議会より受験資格に関して個別認定を受けた者

(出典 国税庁ホームページ税理士試験に関するQ&A)

受験資格が設けられている意義

国家試験における受験資格については、段階的に第一次、第二次等と順次試験を行い、第一次試験の受験資格については、広く一般的に開放しているものと、一定の実務経験または資格要件(図表「税理士試験受験資格一覧表」)としているものとの二つの方式があるが、税理士試験においては、税理士業務は、実務経験と学識との上に期待されるものであることから、後者の方式をとっている。

【参考】
国税審議会税理士分科会(平成20年12月9日)「税理士試験の受験資格の検証」
2 税理士試験の受験資格の意義
○ 受験資格を設けている意義
税理士業務を行うためには、専門的な学識や応用能力のみならず、一定レベルの教育又は一定の実務経験を通じて備えられる税理士業務に関連する基礎的学識又は技能も必要

平成13年の改正

受験資格については、規制緩和の要請から見直しが行われた。
具体的には、より多くの者に受験の門戸を開くため、職歴については一律に3年とし、学歴については、いわゆる大学編入に認められている専門学校の修了者で、法律学、経済学を修めた者が追加された(参考「国会議事録(抄)平成13年5月25日衆議院財務金融委員会(質問・答弁」)。

【国会議事録(抄)】平成13年5月25日衆議院財務金融委員会(質問・答弁)
植田至紀委員(共産党)
税理士試験の受験資格緩和及び試験免除規定についても、一昨年、規制改革についての第2次見解がなされておりますし、また、規制緩和推進3カ年計画でも、分野別の措置事項としての見直しが決まっているというふうなところでございます。
その辺のところの動きも含めて今回の改正に当たって議論がなされたかと思うわけですが、その背景及び、具体的に、じゃ、どういうふうに変更されたのか、緩和されたのかということを含めて御説明いただけますでしょうか。

尾原榮夫政府参考人(財務省主税局長)
お答え申し上げます。
今先生からお話がございましたように、税理士試験制度につきましては、一つは規制緩和の要請、もう一つは信頼される税理士制度の確立という観点からの見直しが行われております。
まず、第一点目の規制緩和推進3カ年計画では、公的資格制度の受験資格の見直し、つまり規制緩和の要請がございます。つまり、より多くの方に受験の門戸を開くということが計画の精神になっておりまして、今回、職歴、学歴による受験資格の要件を緩和するということにしてございます。
具体的に申し上げさせていただきますと、今まで、職務の種類によって3年から10年という差がございました。これを一律に最も短い3年にさせていただく。
また、学歴による受験資格でございますが、いわゆる大学編入が認められている専門学校の修了者の方がおられます。こういう方の中で、法律学、経済学を修められた方について新たに受験資格を認めるという改正を行うこととしているわけでございます。

平成26年の改正

更に平成26年の改正において、幅広い層から人材を確保する等の観点から、職歴による受験資格者について、その事務又は業務に従事した期間が2年以上(改正前:3年以上)になる者とすることとされた(法5①一)。また、2以上の事務又は業務に従事した場合のその通算した期間についても2年以上(改正前:3年以上)となるときは、受験資格が与えられることとされた(法5②)。