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第3条税理士の資格

次の各号の一に該当する者は、税理士となる資格を有する。ただし、第1号又は第2号に該当する者については、租税に関する事務又は会計に関する事務で政令で定めるものに従事した期間が通算して2年以上あることを必要とする。
一 税理士試験に合格した者 二 第6条に定める試験科目の全部について、第7条又は第8条の規定により税理士試験を免除された者 三 弁護士(弁護士となる資格を有する者を含む。) 四 公認会計士(公認会計士となる資格を有する者を含む。)
2 公認会計士法(昭和23年法律第103号)第16条の2第1項の規定により同法第2条に規定する業務を行うことができる者は、この法律の規定の適用については、公認会計士とみなす。
3 第1項第4号に掲げる公認会計士は、公認会計士法第16条第1項に規定する実務補習団体等が実施する研修のうち、財務省令で定める税法に関する研修を修了した公認会計士とする。

税理士の資質(専門性・適格性)の担保(第3条-13条、18条-29条、39条の2)

税理士の資質(専門性・適格性)の担保

資格取得制度(第3条)

資格取得制度

税理士試験合格者

昭和26年に税理士法が制定されてから昭和55年の改正までは、税理士有資格者は(1)弁護士、(2)公認会計士、(3)税理士試験合格者、(4)税理士試験免除者の配列順であった(参考「国会議事録(抄)昭和26年3月30日衆議院大蔵委員会(提案理由)」)。
これが社会的要請により国民の権益を援助するため各種の業務を独占的に取り扱う資格は、通常国民の多くが納得できる厳しい公正な国家試験(資格試験)によって付与されるべき観点から、昭和55年改正時に、税理士となる資格を有する者として、第一に税理士試験に合格した者が挙げられることとなった(参考「国会議事録(抄)昭和54年6月5日衆議院大蔵委員会(質問・答弁)」)。
税理士試験は税理士の使命を達成し、もって納税者の信頼と期待に応えるための資質を検証するための制度である。税理士となるのに必要な学識及びその応用能力を有するかどうかを判定することを目的として、税法及び会計学について行われるものであることから、税理士となる資格を有する者について、税理士試験に合格した者を本則とする趣旨を明確にしたものである。
なお、後述する弁護士については弁護士法3条があることから法3条1項3号に、公認会計士は本来監査業務に専心する立場であることから同4号に記載されるに至っている。

【参考】

【国会議事録(抄)】昭和26年3月30日 衆議院大蔵委員会(提案理由)
三宅則義委員(元東京税理士会会長)
税理士の業務を行うためには、現行の選考による許可制度を廃止して、原則として試験による登録制度に改め、税理士の水準の向上を図りたいと考えたのであります。そこで税理士となる資格を有する者としては、まず弁護士、公認会計士が適当であると考えられ、これに加えて税理士試験に合格した者及び税理士試験における全科目の試験の免除を受けた者であり、税務又は会計につき2年以上の実務経験を有する者が適当であると考えたのであります。
【国会議事録(抄)】昭和54年6月5日衆議院大蔵委員会(質問・答弁)
宮地正介委員
たとえば、これは法律案の言葉じりをとらえて言うわけじゃないのですが、第3条の税理士の資格の中の順番が逆転しているわけですね、今度の改正案。公認会計士は第4番目にきているわけですね。現在の法律は弁護士が1番、2番目は公認会計士、3番目に税理士試験に合格した者、4番目云々。今回は公認会計士が1番最後なんです。おれたちはどうも1番最後に置かれているんじゃないか、別にそういうふうにひがんでいるわけじゃないでしょうけれども、非常にぴりぴりしているわけですね。そういうところに、まさか感情的でこんな書き方をしたのではないと思いますよ。ですけれども、そのくらい関係団体の方々は神経をとがらせているわけですから、やはり細心の注意と配慮をするくらいの大きな立場に立った大蔵省であってほしい、こういうことを私は感じるわけですが、これは何かやはり理由があったのでしょうか、この点伺っておきたい。

福田幸弘政府委員(大蔵大臣官房審議官)
これは理由がございまして、税理士法でございまして税理士の資格の問題でありますから、税理士の試験に通ったものが冒頭に来るというのがやはりほかの立法例から見ても当然のことであります。あと順番が、次がそれに匹敵する資格。3番目と4番目が後に回っておりますのは、さきのように弁護士法3条の問題があるということでございます。それから公認会計士の方は、本来監査業務に専心される立場でございますので、税理士の業務に入られる際はやはり付随的な立場でございます。したがってこの辺は、一般の考え方に即しただけで、決して感情的とかそういうことは絶対ございません。法律を出す以上は客観的、合理的なものをつくっております。

税理士試験免除者

税理士試験は科目別合格制度が採用されていることに特徴がある。一度合格した科目については、以後の税理士試験においてその試験が免除される(参考「税理士試験における科目免除の取扱い」)。また、税理士試験についてはその者の資格及び経験によって税理士試験の合格者と同等の学識及び応用能力を有している者については、試験科目の一部が免除される。これらの免除科目が税理士試験全科目に及んだ者は税理士となる資格を有する。

実務経験(2年)

税理士試験合格者及び税理士試験免除者は、租税又は会計に関する事務に通算して2年以上従事すること(実務経験)が必要となるが、実務経験の期間は税理士試験の前後を問わない。
租税又は会計に関する事務とは税務官公署における事務のほか、その他の官公署及び会社等における税務又は会計に関する事務(特別の判断を要しない機械的事務を除く)とされている(基通3-1)。
この「特別な判断を要しない機械的事務」とは簿記会計に関する知識がなくても出来る単純な事務等やパソコン等を使用して行う単純な入力事務等をいう(基通3-2)。

弁護士(弁護士となる資格を有する者を含む。)

弁護士の職務は「弁護士は、当事者その他関係人の依頼又は官公署の委嘱によつて、訴訟事件、非訟事件及び審査請求、再調査の請求、再審査請求等行政庁に対する不服申立事件に関する行為その他一般の法律事務を行うことを職務とする」(弁護士法3①)であり、弁護士は法律事務に関する専門家であることから、税理士の扱う租税法令等に関する事務についてもこれを行うに足る能力を有するものとして、税理士資格を付与しているものと解されている。
しかし、税理士は財務書類の作成等財務に関する事務を業務として行うことができる(法2②)と定められているほか、会計参与の有資格者でもあり、相当な会計知識が必須であることから、税理士となる弁護士については、会計学に属する科目の合格を必要とすべきとの指摘もある。
弁護士と、弁護士となる資格を有する者との差異は、弁護士登録を行っているか否かにあり、税理士業務を行うための学識経験には差がないものとして、昭和55年の改正において「弁護士となる資格を有する者」も税理士となる資格を有する者に含められ、弁護士となる資格を有する者は、弁護士登録をしなくても税理士登録を行い、税理士業務を行うことができる。

公認会計士(公認会計士となる資格を有する者を含む。)

公認会計士の職務は「他人の求めに応じて報酬を得て、財務書類の監査又は証明をすること」(公認会計士法2①)を業としていること、公認会計士試験には租税及び会計に関する試験が含まれていること等の観点により税理士となる資格が付与されていることから、弁護士と同様に公認会計士となる資格を有する者も税理士登録を行い、税理士となることができる。
公認会計士については、自動的に税理士となる資格を取得することとなっているが、平成15年の公認会計士試験の見直しにより多数の合格者が輩出された現状等も踏まえ、公認会計士への自動資格付与が、税理士の資格制度を設けている趣旨にも反し、税理士制度への信頼を損ねているのではないかとの意見等があった。
一方、公認会計士については、会計の専門家である公認会計士の監査証明が国内はもとより海外投資家からも信頼されることで、はじめて我が国の資本市場の健全な発展が期待される中、公認会計士資格取得後の研修において、税務科目の受講を義務化するなど、公認会計士の税務能力の維持・向上のために必要な施策の実施に取り組んできたところでもある。
こうした中、平成26年の改正において、税理士制度の信頼性向上に資するとともに、監査の信頼性確保にも配慮する観点から、税理士の資格について、公認会計士は、公認会計士法第16条第1項に規定する実務補習団体等が実施する研修のうち、一定の税法に関する研修を修了した公認会計士とすることとされた(法3③)(参考「国会議事録(抄)平成26年3月18日参議院財政金融委員会(質問・答弁)」)。
この一定の税法に関する研修は、税理士試験の税法に属する科目(法6ー)について、一定基準(満点の60%)以上の成績を得た者が有する学識(法7①、令6)と同程度のものを習得することができるものとして国税審議会が指定する研修とされた(規1の3①)。
なお、国税審議会は、その研修を指定したときは、その旨を官報をもって公告しなければならないこととされた(規1の3②)。
この改正により、公認会計士に対する税理士資格の自動付与の制度は廃止されたことになる。
これを受けて、国税審議会では、日本公認会計士協会及び同協会が主体となって設立した一般財団法人会計教育研修機構が行う実務補習について、平成28年6月16日付で、「税法に関する研修」に指定し、同年6月24日付で官報に公告した。
この「税法に関する研修」の修得は、会計教育研修機構等が行う実務補修の修了要件の一つとされ、また、修了考査の受験要件の一つに位置付けられている考査について、①「税に関する理論及び実務」に関する考査(全10回中2回分)について、透明性向上等の観点から、現在各補習所によって異なる試験日や試験問題を統一した上で、過去5年分の試験問題を日本公認会計士協会又は会計教育研修機構のホームページ上に公表する、②考査の合格基準に、現行各回4割以上基準に加えて「重要な科目については6割以上」との基準を追加した上で、税法科目を「重要な科目」の一つに位置付ける、こととされている。また、修了考査についても、同様の観点から、過去5年分の試験問題を日本公認会計士協会のホームページ上に公開することとされている(参考「公認会計士試験及び新しい実務補習の概要」)。
なお、国税審議会は、実務補習の制度又は運営に関する重大な事情変更が発生した場合、実務補習により税理士試験合格者と同程度の学識が習得できるものであるかどうかについて改めて確認するほか、この事情変更の有無を確認するため、毎年、実務補習の状況について日本公認会計士協会から報告を受けることにより、税理士試験合格者との同等性の確保も図られることとなる。

公認会計士試験及び新しい実務補習の概要

公認会計士試験及び新しい実務補習の概要

(出典「第74回国税審議会税理士分科会」(平成28年6月3日)資料)

【参考】

【国会議事録(抄)】平成26年3月18日 参議院財政金融委員会(質問・答弁)
尾立源幸委員
その研修内容について具体的な中身やレベルがどのようなものを想定しているのか、現時点で答えられる範囲で答えていただきたいと思いますし、もう一点、確認まででございますが、この研修については、内容を国税審議会が決めるもので、従来のように公認会計士への資格の自動付与ではなく、高度な税法に関する研修を受けることと修了することによって資格が付与されるものと承知しておりますが、その理解でよいのか、改めて大臣にお聞きしたいと思います。

麻生太郎国務大臣
現在、御存じのように、公認会計士は公認会計士の資格を取りますと自動的に税理士資格を付与される制度となっておりますのが税理士法第3条ということになっております。
今回御指摘のありましたように、この制度を改めさせていただいて、公認会計士法に定める実務補習団体等の実施する研修のうち、国税審議会が指定する研修を修了した公認会計士のみに税理士資格を与えるということにいたしております。この国税審議会が指定する研修の内容につきましては、税理士試験のいわゆる税法科目の合格者と同程度の学識を修得できる研修ということを考えさせていただいております。

国税審議会

平成13年1月に、それまで国税庁に設置されていた国税審査会、税理士審査会及び中央酒類審議会が統合され、国税通則法、税理士法並びに酒税の保全及び酒類業組合等に関する法律の規定によりその権限に属された事項を処理することを目的として、発足した(財務省設置法21)。
国税審議会は、20人以内の委員で組織することとされており、所掌事務を処理するため、その分科会として、国税審査分科会、税理士分科会及び酒類分科会が置かれている。

国税審議会